現役CEO教師が気づいた “これからの先生に求められる力”

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一昨日、5年生理科(3クラス)を担当している小金井市立前原小学校の2学期が終わりました。

(T1なので)1学期同様に成績もつけました。

経営をしながら教員をやるのは大変ですがやりがいはありますし、思った以上にいろんな気づきを得ています。学校の中に入らなければ気づけなかったことがたくさん。これらは私にとっても経営にとっても貴重な財産になりそうです。

今日はこの気づきの中で、「時代によって変わった先生の役割」について、備忘録も兼ねて書いていこうと思います。
※公立小での勤務経験が1年にも満たない私の個人的な解釈です。

振り返り:1学期〜2学期やってきたこと

これまで私が前原小で取り組んできたことを簡単に振り返ります。

私はプログラミング教育なら平成27年度に小3,4,5,6年生向けに60時間近く授業をしてきました。これについてはICT教育ニュースさんで取り上げていただきましたのでご参考ください。

日本初の経験者・中村さんが語る「プログラミングで教科を学ぶ」難しさ
http://ict-enews.net/zoomin/nakamura/

しかし教科を教えるのははじめてです。それも準備が大変な理科。
教科書・指導書・授業案・板書計画を読みあさり、NHK For schoolを見まくりました笑

私は1年間かけて”守破離”で行こう、と考えました。

まずは先生の基本形と言われているやり方でやり、
徐々に現役経営者ならではの授業やSTEMONの素材を活かしたプログラミング教育に取り組んでいこうと考えました。

1学期:一斉講義型授業

以前の投稿「現役CEO教師日記:転機が訪れるまでの、はじめの1ヶ月」にも書いた通り、まずは多くの先生が実施している基本形を忠実にやってみました。

いわゆる一斉講義型授業です。

教科書をベースに説明と板書をし、ノートに書いてもらい、単元を終えたらテストという流れ。
教科書と指導書とテストが強く連動します。

それを子供達がノートにきれいにまとめる。すると子供達は知識の整理がしやすくなります。

こんな感じ。よくある風景。

一斉授業は基本的に先生が答えを持っています。

子供達は聞く・理解する・板書をノートにまとめる、といった活動が中心。

クラスみんなが自分の席に座り続け、同じ課題を進めます。受動的、反応的な時間が続きます。

 

先生である私は、子供達が理想的な反応をしたら嬉しいしやりがいを感じます。

 

学校の先生が先取り学習をする「塾」や「通信教材」をいやがる、というよく聞く話も体感しました。

実験をやる前から「おれ、チャレンジでやったから知ってるし」という児童が毎度数名いまして、
「一番おいしいところを持っていかれた!」みたいな感覚になります笑

 

先生である私は職人技を追求していく感覚になりました。

大手予備校の一流講師がこの最終形なんだろうな、とも思いました。
(これをアプリに乗せたのがリクルートのスタディサプリでしょう)

 

子供達が新しい知識を得ていくのに自分が大いに関わっているというのは、やみつきになりそうなくらいやりがいを感じます。

 

この一斉講義型授業を実践する先生を私は勝手に「教師1.0」と呼んでいます。

 

一斉授業は慣れてくると楽しいものでした。
しかし問題も感じるようになりました。

先生の話を聞くばかりでは子供達の集中力は続きません。退屈そうにする子、それもう知っているし、という子、つけていけない子がいつもいる状態。

それに、一部の子供の認識状態が教員にはわからないまま授業を進めていくことになります。

このような課題を打開するにはどうすればよいか?と考えるようになって出会ったのが「学び合い」でした。

2学期:学び合い

6月上旬。
一斉授業の限界を感じ、担任の石井先生に相談したところ「学び合い」を教えていただきました。

学び合いとはざっくりいうと、「先生が課題を設定し、子供達が協力しながら課題に取り組む授業」

先生が教えるのではなく、子供達が答えを見つける活動が中心です。
教科書や補助教材だけでなく、webや図書室などを活用して調べるのもOK。

先生の役割も一斉授業とは変わります。
ずっと話し続ける一斉授業とは異なり、全体の活動を俯瞰してみる余裕ができ、適宜声がけやサポートをしていきます。板書も一斉授業と比べるとかなり少なくなります。

 

子供達は自主的に活動をします。
見つけた情報をシェアしたり、お友達に意味を聞いたり一緒に考えたり。

 

学び合いスタイルに切り替えてからは、「魔法か!?」と思うほど子供達の活動量が変化しました。

まさにアクティブ・ラーニング。主体的・対話的な学びになっていきました。

 

子供達が主体的に活動する時間が多くなります

板書もあまりしません。

学び合いを実践するには注意すべきことがいくつかあって、子供達同士が自然な形で教える・教わるという風土作りが大事。石井先生のクラスはすでにその土台ができていました。

これは素晴らしいメソッドだな思いました。
一斉授業が「職人技:講義形式」だとすると、学び合いは「仕掛け人:グループワーク」です。

 

課題の設定に不慣れな私は、時々子供達の活動をしにくくしてしまうこともありましたが、
石井先生に、「この課題どうですかね?」「こうしたらよくなりますよ」を何度か繰り返し、1学期の後半からは学び合いにハマっていきました。(石井先生ありがとうございます!)

 

ところが、、
学び合いにどっぷりハマった私ですが、問題点も感じるようになります。

子供達の学びにムラが出やすいことや、知識を効率よく学ぶことは一斉授業の方がやりやすいのです。

 

そして一斉授業と学び合いの組み合わせが大事だなと気づき、この2つをブレンドして授業を進めることにしました。

 

これによって、単元のねらいをもれなく効率よく学べるし、
子供達が主体的に取り組む、活気ある授業もできるようになっていきました。

このように、「一斉授業」と「学び合い」を組み合わせる先生を「教師2.0」と勝手に呼んでいます。

個性化・個別化

「一斉授業」と「学び合い」を組み合わせることで手応えを得たころに、石井先生の英語の授業を松田校長が絶賛していました。

それは「English Centralを活用した個性化・個別化」の授業でした。

「個性化・個別化」?

松田校長が年度はじめに「これからは個性化・個別化だ!」と話されていたのを思い出しました。
そのころは重要性に気づけずスルーしていました笑  そんな余裕なかったですし。

こちらの書籍を紹介され読みました。
「ブランディッドラーニングの衝撃」

ブレンディッドラーニングの衝撃を翻訳された小松さんのセミナーがたまたまあると知りすぐに申し込み。

セミナー後に小松さんに色々質問をさせていただきました。

その後当社に来てくださったり動画教材の会社をご紹介してくださったりと、いまでは小松さんにブレンディッドラーニングについて色々学ばせていただいております。(小松さんいつもありがとうございます!)

個別化・個性化の授業の特徴はこのようなものです。
・個々の課題設定、学習計画できる(アダプティブ・ラーニング)
・子供達は今の自分にちょうど良い課題が常に出されれるので、粘りつよく活動しやすい→着々と学力を高めていける。
・自分のペースで進められる。
・個人内の目標設計ができ、自主的・主体的になる。

先生の役割も変わります。
・個々の状況にあった課題の設定、教材の選定をする。
・個々の理解と学習進捗状況を確認して、個別に適切な支援をする。
・個別に次の一手を気づかせるコーチ。
・動機づけをするメンター。

教師2.0とはだいぶ異なる要件が出てきていることがわかります。

個別化・個性化に不可欠なものの1つが動画教材です。

実際に前原小ではいくつか動画教材を活用しています。
e-boardややるkey,English Central、Qubenaなど。イメージとしては、公文のように一人ずつ自分のペースで学んでいけるものがタブレットで動画・映像で学びながら進めていけるものです。

教材はたくさんありますので、何を選定するかも先生の腕の見せ所。キュレーション能力(教科ごとの教材選定)も重要な能力になります。

一斉授業、学び合いを組み合わせることで手応えを得ていた私も、個別にどんどん取り組ませる設計にはしにくいなと感じるようになっていました。ブレンディッドラーニングだとそれが実現できる。

個性化・個別化が求められるのは、子供達の学力・理解力のばらつきが一昔前とは異なることも関係しているでしょう。

以前は学力のばらつきはこうでした。このようなばらつきの場合、先生は中の後ろくらいを想定しながら授業を進めます。

ラフな手書きですみません。。

そうなると前の子は退屈、後ろの子はついていけない、となってしまいますが最も多くの子供を学ばせることができるのです。

しかしこれが今は形が変わり、ふたこぶあるイメージ。こうなると、どこに合わせても多くの子にとってフィットしません。

iPadでパパッと書いたものなので・・汗

それが個別化・個性化だとこのようになります。

イメージ図!! どこかのレベルに合わせる必要がありません。

「どこに合わせるか?」ということは関係ないのです。個別だから。

全ての子供が今の自分に合った課題に取り組むので、着実に学力を高めることができるのです。

個性化・個別化には教科ごとの相性もあるかと思います。算数のように積み上げ続けていくものは最も相性が良いでしょう。理科などのグループこその効用を得やすい授業は一斉授業・学び合いも活用すると良さそうです。

個性化・個別化をベースにしながら単元に合わせて「一斉授業」「学び合い」もブレンドする先生を「教師3.0」と勝手に呼んでいます。

ここまでご紹介した「教師1.0」「教師2.0」「教師3.0」の段階を、先生の役割・子供の活動の表にまとめてみました。

これからは教師3.0を目指すべき。最近は研修でこの話を詳しく紹介しています。

先生の役割が大きく変わっていることがわかります。

一斉授業スタイルだけではなく、子供達が主体的・対話的に学ぶ場をつくる仕掛け人になったり、
個別に学習に取り組ませるための教材選定や学習進捗把握、適切なメンターやコーチとしての役割もしなければなりません。

複数のスキルが求められるようになったのです。

「職人技の追求をすることが良い先生」と思い込んでいると、教師2.0,教師3.0には向かっていくことができません。

テクノロジーの進化や社会の変化に合わせて先生も進化する必要があり、
「教師3.0」は、これから先生はどの方向に進化していけば良いのかという指針になると思っています。

「一斉授業」と「学び合い」と「個性化・個別化」を使いこなすのが、これからの先生の役割。

学校の環境によって事情は異なると思いますが、一人でも多くの子供が主体的に充実した学びを実現していくには、教師3.0にチャレンジしていくことが求められるでしょう。

私の前原小での勤務は3学期を残すのみ。教師3.0の実践に取り組んでいきます。